極彩色のクオーレ
おとぎ話「見習いの飾り職人」
多くの人々が訪れる街に、飾り職人の見習いがいました。
彼はいつもいっしょうけんめい。
ご飯を食べることも眠ることも忘れて、夢中で飾りを作ることもあります。
けれども、彼は見習いです。
お客さんに飾りを作ってもらいたいとお願いされ、満足してもらえるまでは、一人前とされませんでした。
作品を売ることも、お店を開くことも、一人前にならなければできません。
彼は楽しみに待っていましたが、なかなかお客は来ませんでした。
それもそのはずです。
彼の兄弟子が、すべて横取りしているのですから。
兄弟子は見習いをこき使いたくて、彼に仕事が舞い込まないようにしているのでした。
見習いは今日も修行をしています。
不満を抱えながらですが、兄弟子のお使いも、きちんとこなします。
一人前になりたくて、来る日も来る日も、見習いは仕事を待ち続けました。
奪われてばかりの依頼を、いつまでも待ちました。
めでたしめでたし