極彩色のクオーレ
おとぎ話「完全になりたいゴーレム」
街はずれに暮らす人形職人によって、一体のゴーレムが造られました。
完成度はやや低く、高性能とはとても言い難い、至って平凡なゴーレム。
それでも彼はこの世に生まれたことに喜びを感じ、造主の望みのために動き出しました。
しかし、彼の造主は完璧に近いものが好きな人です。
不完全なもの、未完成のものは彼女にとってはガラクタ同然。
ゴーレムは造主に捨てられました。
彼が何度会いに行っても造主は応えません。
完璧からは程遠いゴーレムの相手をする時間は、彼女にとって無駄なことですから。
『もう一度、彼女に自分のゴーレムだと言って欲しい』
完璧なゴーレムになるために、彼は危険を承知で東の森に囲われた丘へ向かいました。
その丘にしか咲かない、水晶のように透明な花を求めて。
けれど、そこへ行くには凶暴な動物の縄張りを抜ける必要があります。
彼はその動物に見つかり、襲われ、捕まってしまいました。
もちろん、造主がこのことを知る由もありません。
冷たく薄暗い森の中で、ゴーレムは壊されていきました。
めでたしめでたし