極彩色のクオーレ





細い目をますます細くするヒーラーの膝裏を、青年が楽しそうに踏みつける。


うまく立っていられず、ヒーラーは作業テーブルにしがみつく。


ニコは少し離れて様子を傍観するセドナの背中をつつき、この騒がしい訪問者について尋ねた。



「誰ですか、あれ」


「あいつはラリマーつって、先生のお孫さんなんだ、一応。


でも飾り職人になるのが嫌だ工房継ぐの嫌だって先生と大ゲンカして、今までずっと旅してたんだよ。


それにしても相変わらずの最悪っぷりだな……」



顔を曇らせつつセドナが説明していると、ヒーラーをいじるのに飽きたのか、青年・ラリマーがこちらを向いた。


対照的なくらい笑顔である。



「よぉセドナ、久しぶりだな。


もう見習いは卒業したのか?依頼もらえるようになったか?」


「あ、おう。……戻ってくるのは4年ぶりか?ラリマー


もう戻ってこないかと思ってたけど」


「うわ、ひっでえ」



一瞬だけ大げさに表情を歪めて、ラリマーは指を折って年数を確認する。



「んーと、そうだな、4年と半年ってところかな。


あれから4年半経つのか、そりゃでかくなってて当たり前か。


まあ、オレに比べたらチビ同然だけど」



ラリマーがセドナの頭をくしゃくしゃ撫でる。


裏口の上枠に頭が届きそうなくらい長身のラリマーに比べて、セドナは彼の肩までしか背丈がない。


気にしていることをあっけからんと言われたセドナは、ラリマーの腕をぴしゃりとはたいた。



「チビは余計だ、このウドの大木野郎が」


「お?そっちのやつ、知らねえ顔だな。


誰ダレ?あっ、ひょっとして新しい見習い?」


「人の話聞けよ。それにこいつは見習いじゃねえ、研磨機の修理をしに来てくれた」


「修理屋のニコです」




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