極彩色のクオーレ
「お、おいニコ、今何やったんだ!?」
慌てて立ち上がり、ラリマーは奥に戻ろうとしたニコを捕まえた。
ニコはきょとんとして答える。
「何って……修理した、だけですけれど」
「修理しただけって、今のがか!?
だけじゃねえだろ、お前今、どう見ても工具をかざしただけだろうが!
それできれいさっぱり直ってるって、どういうことだよ!?」
「どうって言われましても……」
興奮した様子のラリマーに早口でまくしたてられても、ニコはよく分からないという表情を浮かべるだけ。
そんなニコの腕を触り出したラリマーの後ろに立ち、ため息をついてルーアンが杖を振り上げた。
二人の弟子が、目をつぶって両手で覆い隠す。
ぴしりと小気味いい音が鳴った。
「あいでっ!」
ラリマーがぴょんと跳ねて右肩を押さえる。
「少しは落ち着け、アホ。騒がしくて耳が痛いわ」
「痛いのはオレの方だよ、じいさん……
なあ、ニコ、もう一回今の見せてくれよ、工具をサッとかざしてちゃちゃっと直しちまうやつ」
「構いませんけど……直すものがもうありませんね」
「よし、そんならもう一回ドアぶっ壊して」
「一発殴るだけじゃ足りなかったか?」
にっこり微笑みながら杖を握る祖父に、孫は慌てて訂正した。
「じょじょじょ、冗談だって」
「いや、ラリマー、それは冗談でもないと思う」
「そうよそうよ、ニコちゃんに失礼だわ」
庭から戻ってきたセドナが引き気味に指摘する。
最初の蹴りから復活したヒーラーがそれに同調した。
イラつく言い方だが、彼の言っていることは正しいのでラリマーは反論しない。