極彩色のクオーレ
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「おおおおーーーー!?」
2階から屋根までが吹き抜けの造りになっている時計塔の中に、ラリマーの声が響いた。
ニコは平然と立ち、ケセラは頭を抱えて泣きそうになり、依頼主であり家主であるギベオンはとても迷惑そうに耳を塞いでいた。
周りに気を遣わず、ラリマーが嬉しそうにはしゃぐ。
二重螺旋階段を一階分駆け上がり、入り口に立つニコたちに向かって叫んだ。
「すっげえな、この時計塔!
ガキの頃からあったのは知ってたけど、中はこんな風になってたんだな。
おーい、えっと、ギベオンって言ったっけ、お前。
こんな面白い機械いじりまくれるのに、なんで時計職人目指さなかったんだよ?」
ちっ、と音高く舌打ちして、ギベオンはニコを睨みあげた。
「ニコ、何なんだよ、あのうるせえ赤毛」
「セドナが働いている工房長のお孫さんだそうです。
ぼくの修理作業を見たいと言ってついてきたんですが……ダメでしたか?」
「下手にあちこちいじられなきゃいいよ、あともっと黙ってくれりゃ。
さっきからわんわん響いて頭にくるんだよ、ケセラのよわっちい声だけでもかなり反響するってのに」
「ご、ごめん……」
悪くないはずなのに、ケセラが首をすくめて謝る。
ギベオンに「何もしてないのに謝るな」と、おでこをはたかれていた。