極彩色のクオーレ
「みゅー」
すると、ドアの隙間からデシンが中へ入ってきた。
主の足元にじゃれつく。
「あれ、デシンどうしたの?
お腹すいちゃった?」
ケセラが抱き上げると、デシンは甘えた声で鳴いた。
それに気づいたラリマーが階段を駆け降りてくる。
「おっ、コルルじゃねえか!
凶暴なのに、よく飼育できるなお前。
えーっと、名前なんつったっけ?」
「け、ケセラです」
「ケセラな。触ってみてもいいか?」
「あ、でも急にしたら……」
ケセラがいう前にラリマーはデシンの頭に手を伸ばす。
案の定、デシンは警戒を剥き出しにし、その手に思い切り噛み付いた。
悲鳴が響き、ギベオンが耳を塞ぎながらも「ざまあみろ」と悪い顔になる。
ニコはそのやり取りにしばらく目を向けてから、もう一度時計塔の内部を見上げた。
二重螺旋階段が最上階まで伸び、屋根の部分からは7本の大小様々な振り子がぶら下がっている。
正確な時を刻むためのものだが、今は止まったままである。
細かな機械は最上階に設置されているようだ。
壁のあちこちには仕込みパイプがあり、鐘の代わりにそれらが音楽を奏で時を告げる造りになっている。
からくり状になっているのは、製作者たちの趣味であろう。