極彩色のクオーレ
「ニコ、半分だけど設計図見つけたぞ」
「ギベオン?なんでそんなところから……」
ニコに設計図を渡して、ギベオンは親指で自分が来た道を示す。
「時計盤の修理のためだと思うけど、足場が出てくる仕掛けがあるんだ。
それを使ってのぼってきた」
「なるほど」
縁に手をついて下を確認すると、確かに、外壁のレンガが複数飛び出ていて、階段のように道をつくっていた。
命綱も出ているが、これに掴まってものぼるのはかなり怖そうである。
「直せそうか?難しいなら、無理しなくていいんだけど」
「いえ、大丈夫です。
設計図が半分だけでもあって助かりました。
さすがにノーヒントで異常を見つけるのは難しそうですし」
「やっぱお前すげえな、ボクが見てもちんぷんかんぷんなのに。
『天才』に造られたゴーレムだから、そういうところが似てくるのかな。
ゴーレムは造主に似るってよく聞くし」
「さあ、どうでしょうか。
あ、ギベオン、この部屋の掃除もお願いします。
いくらガラスで守られていても、埃は機械の大敵ですからね」
「うげ、マジかよ」
ギベオンが露骨に嫌そうな顔になる。
それでも素直に従い、掃除道具を取りに再び降りて行った。