極彩色のクオーレ
美しい和音を残して、曲は終わった。
その余韻が完全に消える前に、気持ちが昂った様子のラリマーの声が響く。
「すげえ!時計塔の仕掛けが動いているところ、初めて見た!」
「ら、ラリマーさん、声大きいよ……」
「おう、悪いな!つい興奮しちまって!」
「だ、だから~」
足元から聞こえてくる声に、ギベオンはうるさいと舌打ちする。
だが、ニコが命綱を握って最上階に戻ると、嬉しそうに彼の背中を叩いた。
「ありがとな、ニコ。
本当に直してくれちまうとは思わなかった」
「思ってなかったんですか」
「五分五分。いや六・四、じゃねえな、七・三くらいで無理じゃないかって思ってた。
正直見くびってたわ、悪かったな」
あまり悪びれる様子もなく、ギベオンが笑いながらさらに背中を叩く。
こうもあっけからんと言われると、むしろ清々しい気分になるのはなぜだろうか。
すると、足元からドドドドド……という地響きにも似た音が聞こえてきた。
バタンッ!!
勢いよくドアが跳ね上がる。
強すぎたせいでドアの蝶番が跳ねとび、天井にぶつかってニコの手に収まった。
予想通り、そこからラリマーが息を切らして出てくる。
ギベオンが一瞬で不機嫌な表情になる。