極彩色のクオーレ
「だー、くそっ、掃除してたらニコの修理作業見逃しちまった!」
ラリマーが額に手を当て、悔しそうに眉根をさげる。
どういうわけか、小脇にケセラが抱えられていた。
ケセラはさらにデシンを抱きしめ、余程怖い思いをしたのだろう、真っ青になって震えている。
「ラリマー、うっさい。
ここから外に突き落とされてえの?」
「ん?ああ、悪い。
オレ、興奮するとすぐに大声になっちまうからよー」
まったく悪いと思っていない様子でラリマーが謝った。
ギベオンはもう慣れたのか、大きくため息をつくだけにした。
床に下ろされるとそのままけケセラはへたりこむ。
螺旋階段の内側の方に抱えられ、ここまで来たらしい。
内側には手すりがない。
ラリマーが走っている間、宙ぶらりん状態のケセラは生きた心地がしなかったであろう。
ニコが声をかけても、黙って首を振ったり頷いたりするだけだった。
「ったく、お前は掃除のときからあっちこっち壊しやがって……
このドアどうしてくれんだよ。
蝶番ばっきり折れてるじゃねえか、弁償しろ」
床を指さしながら、ギベオンは苦笑いするラリマーを睨みつける。
すぐにニコが修理したので、穏やかに場はおさまった。