極彩色のクオーレ
見たくてついて来たニコの早業を見ることができて、ラリマーがまたはしゃぎ出す。
ギベオンが紐を引いて彼の後頭部に小さな木桶を落としたとき、部屋のどこかでベルの音がした。
「んあ、誰だろう」
隅の床板を動かして、ギベオンはそこから細いコードが繋げられた黒い筒を取り出した。
口を開いている方に向かって話しかけル。
「もしもーし、どちらさん?」
「ギベオン?ティファニーだよ。
そこにまだニコがお邪魔してるかしら?
夕方まで時計塔の修理しているって聞いて、迎えに来たんだけど」
「ああ、まだいるよ、丁度今修理終わったところ。
おいニコ、ティファニーのお迎えだぞ」
ギベオンがニコに向かって、黒い筒を振って示した。
「了解しま」
「え!?ティファニーが迎えにって、お前あいつとどういう関係なんだ!?
いや、それはどうでもいい。
ギベオン、今下にティファニーが来てるってことだよな!?」
踏み出しかけたニコを押しのけて、ラリマーがギベオンの方へ乗り出す。
驚きながらもギベオンが頷くと、また壊しそうな勢いでドアを開け、転がるように螺旋階段を降りていった。
足音と意味のわからない奇声が一気に遠ざかっていく。
「に、ニコ、外からあいつを追いかけろ!
階段じゃ多分間に合わねえ!」
感じた嫌な予感に従って、ギベオンはニコに向かって叫んだ。
ニコはよく分からなかったが、気迫からただならぬ何かを感じたので素直に頷く。
命綱を持ち、壁を蹴りながら、器用に滑り降りた。