極彩色のクオーレ
ぶつけた頭を押さえながらケセラがおずおず言う。
回答が気に入らなかったのか、それとも態度が気に障ったのか、ギベオンがケセラを殴った。
隙をついてラリマーが潰された仕返しにとびかかるが、これも間一髪でかわされ、顔から舗装された道路につっこんだ。
腰を突き出して痛みに耐えるラリマーを、ギベオンは「ふん」と鼻で笑う。
「まあ、こんなアホは放っといて。時計直してくれてありがとな、ニコ」
「不具合が生じたらまた言ってください」
「おう、ねえと思うけどな。
それじゃあ、ボクは今から依頼されてた仕掛けの材料を調達しに行ってくる。
明日に回すと今夜が暇になるからな。
おいケセラ、お前も手伝え荷物運びしろ」
「あ、うん」
ケセラが返事をする前に、ギベオンが路地裏へ走り出す。
「じゃあな、ニコ!お前のご主人、そこの変態から守るんだぞ」
「待ってよギベオン!」
デシンを抱き上げケセラも後を追いかけて行った。
自由奔放なギベオンについてまわるようになったからか、前よりも足が速くなっている。
いいように使われている印象が強いが、それでもケセラは楽しそうだった。
「おい、ギベオン!まだ話は……ったく、好き勝手やるだけやってさっさと逃げやがって」
呼び止めるのを諦めて、ラリマーは胡座をかいて頭をかく。
それから、ケセラたちが走っていった方を向くティファニーを見上げた。