極彩色のクオーレ
「ティファニー」
「なに?」
「さっきギベオンがニコに『お前のご主人』って言ってたけど。
それってお前のことだよな、もしかしなくても。
……お前とニコって、どういう関係なんだ?」
訝しげなラリマーの視線を肌で感じて、ティファニーがニコに顔を向ける。
話してもいいか確認しているのだ。
ニコは頷く代わりにティファニーの手を握って、ラリマーを見下ろす。
「ぼくとティファニーは」
ガシャァアンッ!!
通りの方から響いた何かが割れる音に、ニコの声がかき消される。
それに混ざって小さな複数の悲鳴も聞こえた。
「な、なに?」
得体の知れない音に、ティファニーはニコの腕に掴まって身を竦める。
途端、ラリマーの興味の対象がそちらに移ったらしく、痛みも忘れて立ち上がった。
「お、今度はなんだなんだ!?」
「何を楽しんでるんですか」
「そんな刺々しく言わなくてもいいだろ、ニコ」
「いえ、そんなつもりは微塵もありませんが」
「あ、そうなん?
んーと、アレは馬車か?」
ニコの反論を聞き流して、ラリマーが通りを意気揚々と下っていく。
束の間迷ってから、ニコたちも音源のところへ向かった。