極彩色のクオーレ
視線を下げた少年はじと、と一方を睨みつける。
そこには3頭の獣が転がっていた。
丸々とした肉付きの良い体に、フサフサの茶褐色の体毛。
顔の半分以上を占めるほど大きな鼻に、これまた大きな牙と太い角が生えている。
耳も幅広くて長い。
少年が目にしたことのない生き物であった。
昼間に遭遇して、仕留めるのは面倒だし疲れるから、逃げて逃げて逃げ切ったと思いきや何故か3頭に増えていた。
(しつこい!)
逃げるのも面倒になったので今しがた動けなくしたのである。
少年は「よっこらしょ」と切り株から立ち上がって、自分の胴体と同じくらいはある獣の牙をノックしてみた。
コンコン、と、中身の詰まった良い音がする。
「しっかし、でっかい牙ですねぇ。
こんだけ硬いなら、パーツだけでなく武器としても利用できそうだ。
体毛も皮もそれなりに使えそうですし、動く資材ってやつですか」
いや、分析はいい、と少年は頭を振った。
今はここが森のどの辺りかを把握しつつ、野宿の準備を整える方が大事である。