極彩色のクオーレ
その青年は、ニコと同じゴーレムだった。
ニコと異なるのは、彼の容姿が人間を模しているけれど一目でゴーレムだと分かるということである。
深緑の丈夫そうな生地で作られた服をまとっており、モデルは木こりであろうか。
自分以外の人型のゴーレムを見たのは初めてである。
「おおっ」とラリマーが大げさに驚いた。
青年の声でそうだと分かったらしく、ティファニーはちらとニコを見上げた。
「迷惑をかケテしマッてすまなかっタ。
ワタシの名ハ、レムリアン。
リビアのために動くヨウに造ラれたゴーレムだ」
「リビアって……街はずれに住んでいる、人形職人でもあり傀儡師でもある、あの?」
ティファニーの問いかけに、レムリアンがこくりと頷く。
動くたび、彼の身体の中からカタカタと軽い音がした。
ラリマーがずいっとレムリアンに近寄り、指先で肌の部分に触る。
「へえ、あのおてんば娘が造ったゴーレムか。
腕を上げたもんだな、あいつ」
「知り合いなんですか?」
「うーん、幼友達ってやつかな。
ガキの頃、他の連中ともつるんでよく遊んでたんだよ。
まあ、基本的にオレ、リビア、ヒーラーの三人だったけどさ。
いやあ、さっき見たときは全然気づかなかった。
あいつもかなり変わった……おおっと」
思い出にひたりかけたラリマーを押しのけて、レムリアンがニコの前に立った。
紫色の瞳で、薄荷色の双眸をのぞきこむ。