極彩色のクオーレ
普通の店と違い、接客スペースはそこまで広くない。
部屋の輪郭に追いやられる形で、工具が雑多に置かれていた。
隣の作業スペースは、紺色の暖簾だけで区切られている。
そこには二人の男がいた。
片方は良く言えば恰幅のよい、悪く言えばでっぷり太った体格で、口髭をたくわえている。
裕福な家庭を築いているのだろう。
身に纏っている衣服がかなり高級そうで、客であるとすぐに分かる。
もう一方の男は対照的に痩身で、これまた対照的にあちこち汚れた質素な服装をしていた。
どうやらこの工房の関係者らしい。
細面に糸のような目。
ちゃんと見えているのかと少年は疑問に思った。
「それで旦那サマ、今日はどのようなご用件でいらっしゃったんですぅ?」
糸目の男が、手を擦りながら客に尋ねた。
甘ったるい喋り方が、強烈なくらい印象に残りそうである。
口髭を触って、客の男は息を吐いた。