極彩色のクオーレ
「……では、こちらとこちらの宝石で、モチーフは小鳥。
それでよろしいでしょうかぁ?」
「ああ。アレンジについては、君に任せる」
「かしこまりましたぁ、では3週間後、奥サマのお誕生日の前日、でよろしいですか?」
「家に置いておくと見つかるかもしれんからな。
ギリギリに取りに来させてもらうよ」
「はぁい、分かりましたぁ。
少々お待ちくださぁい」
ヒーラーが書いたメモ用紙を片手に暖簾をくぐる。
研磨機の音が途切れ、何やら命令する声が響いてから、別の紙を持って戻ってきた。
客が暖簾の方へ首を伸ばす。
「うん?君以外に誰かいるのかい?」
さっきから作業の音はかすかだが聞こえていたし、工房は普通そうじゃないのか、と少年は思ったが口には出さない。
ヒーラーの口元が一瞬、引き攣った。
しかし、すぐに笑顔に隠される。
「はい、ワタシの弟弟子、見習いが1人いるんです」
「なるほどな。弟子入りしてどのくらい経つ?」
「ええと〜、5、6年くらいでしょうか」
「ほう……その見習いに依頼するのも、悪くなさ」
「ぶぇーっくしょいっっ!!!!!」