極彩色のクオーレ
いきなり、ヒーラーが大きなくしゃみをした。
客はぎょっとして口を閉じる。
ヒーラーは鼻を擦って、誤魔化すように笑った。
「ごめんなさぁ~い。失礼しました。
いやだ、風邪かしら??」
「誰かが悪い噂をしているのかもしれんな」
「んまぁっ、ひっどーい!
ええっと、なんの話だったかしら……あっ、あっちの見習いですね?
あの子はまだまだ。
お客サマから依頼をもらえるほどの腕はしていないんです」
「そうなのか?
君の話だと、ずいぶん長い間ここにいるようだが……」
「そぉなんですよ~、それなのにあの子、ちっとも成長しなくて。
ルーアン先生にも叱られてばっかり。
ワタシも仕事の合間を縫って教えているんですが、これがなかなか上手くいかなくて。
それが原因で先生、半年前に倒れちゃったのかもぉ……なぁ~んて」
ヒーラーが口元に手を当てて、腰をくねらす。
声に意地悪さが加わった気がした。
客は両手で杖をつき、気の毒そうな口吻になる。
「そうか……それならやはり、君にお願いするとしよう」
「はい、はいっ。
是非とも、そうなさってください」