極彩色のクオーレ
おとぎ話「ネジと歯車」












部分品を造る小区に、若いネジ職人がおりました。


夢を追いかけて故郷をとび出してきた彼は必死に修行を積み、街の人々の間で評判の職人になりました。


しかし、同じ村から出てきた歯車職人とは犬猿も啻ならず。


顔を合わせるたびに、どちらが故郷に胸を張れるかと競り合いました。


珍しい素材が区内に運びこまれたとき、2人はそれを賭けて勝負をしました。



『あの岩山にある素材を採って、先に街へ戻った方の物にしよう』



2人は森を走り、岩山をのぼり、素材をかき集めます。


ネジ職人はあの珍しい素材を手に入れたい一心で、歯車職人よりも先に山をおりました。


後ろで奇妙な音がしましたが、彼は振り返らず街へ急ぎ、素材をもらうことができました。



けれども、いつまで経っても同郷は帰ってきません。


心配になったネジ職人は再び岩山へ向かいます。


するとそこには、歯車職人だった肉塊と布きれが、真っ赤な地面に転がっていました。


岩山の凶暴な主に見つかり、食べられてしまったのでしょう。


ネジ職人はそこで、自分が大切なものを失ってしまったことに気付けました。




めでたしめでたし











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