極彩色のクオーレ
岩山の主と血結晶
真昼間であっても、森の木々は眩しい日光を塞いでしまう。
木漏れ日が時折差してくるが、地面からはひんやりと冷たい空気が流れる。
今の季節にはちょうどいい涼だ。
置時計の修理を依頼されたニコは、材料にぴったりの木を探して、少しだけガイヤの森を出ていた。
ガイヤでは柔らかく、置時計には不向きだからである。
「うーん、なかなか見つからないものですねえ」
立ち止まったニコは、ポーチから置時計の木片を取り出した。
修復不可能と判断した板を小さく割り、それと木々を照らし合わせながら、最適なものを探しているのだ。
帰り道で迷わないよう標を落としつつ、ニコはさらに奥へ入る。
するとそこに、一本の太い木が立っていた。
余計な枝が少なく、空に向かって真っすぐに伸びている。
ニコは木片とその木を見比べ、軽くノックし、音を確認した。
悪くない。
「これにしますか」
その木から少し離れてニコは手板を操作し、右足の砲を点火した。
静かな森に轟音が響き、思い思いに歌っていた鳥たちが周りの木々から一斉に飛び立つ。
メキメキという音ともうひとつ重い音が鳴り、ニコが根元を撃った木が倒れた。
今度は左腕のナイフを使って、それを手ごろな大きさに切っていく。
同じ長さの6つの丸太をつくり、それを縄でしっかりとくくった。