極彩色のクオーレ





「よし、帰りますか」



グルルルル……



縄を担いでニコが歩き出したとき、どこからか唸り声が聞こえた。


走る音も聞こえる。


大型の獣がニコに近づいてきているようだ。



「うわあ、面倒ですね……」



ちっとも面倒そうにしていない顔つきでニコはぼやくと、縄を下ろして代わりに工具を持ち、近くの木の前に立った。



ガサガサッ!



斜め後方から、いくつかの茂みを突き破ってくる音がする。


そして、よだれを大量に垂らす、鋭い牙を持った獣が現れた。


短い耳をピンと立てた、藍色の毛をもつ、犬のような外見に猫のような目としなやかさを合わせた大型獣である。



「バウバウッ!!」



獣は見つけた餌にとびかかった。


しかし、餌はただおとなしく食われたり逃げ惑ったりしない餌だった。


むしろ返り討ちをする。


もちろん、この獣はそんなことは知らない。



「よいせーっ」



あっという間に巨大な木槌をつくったニコは、それで力いっぱい獣の顔面を叩いた。




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