極彩色のクオーレ
道をゆずりかけて、ティファニーが窓と窓枠に手をかけた。
とおせんぼされてしまい、敷居をまたぎかけたニコは足を戻す。
「ニコ、獣を仕留めたってことは、ガイヤの森を抜けたのね?」
疑問形の口調だが、ほとんどそうだと確信している声色だった。
そして、どことなく厳しい。
ニコは隠すことなく素直に頷いた。
「はい、ガイヤでは木材になりませんので。
少しだけ離れて探していました、損傷はありませんよ」
「無事ならいいんだけど……。
あんまり出ないようにしてね、危ないから。
ギベオンから聞いたんだけど、最近、ガイヤの森のすぐそばで、今までいなかった危険な獣がうろついているらしいの」
「そうだったんですか。分かりました」
「約束ね」
指切りをしていると、奥の部屋に続くドアが開いた。
ねぐせだらけの頭を掻きながら、ラリマーが入ってくる。
「うん?そんなところで何してんだ、2人とも」
「ラリマー、今起きたんですか?」
「ああ……うっわ、すっげえ!」
ラリマーは眠そうに眼をこすっていたが、庭の隅にある獣が視界に入った瞬間、ティファニーを押しのける勢いで窓に近づいた。
目がらんらんと、眠気が吹き飛んだように輝いている。