極彩色のクオーレ





お茶を持ってきた若者がキラキラした目つきで青年を見ている。


古株の男が大きく頷いた。



「ああ、確かにそうだな。


ここに技術を盗める職人が一人もいないことが残念だ」


「そう考えると、とてつもなく勿体ないことしていますね、俺ら……」


「へー、そんな凄い修理屋だったんだ、そいつ」



お茶菓子を咀嚼して青年が頬杖をつく。


本当に思っているのか、とぼそりと言って、頭が苦く笑った。


新しい酒を出そうとして、見習いに止められる。



「すごかったぞー、あの坊主も。今はどこにいるんだろうな」


「あ、今はルースに住んでいるそうですよ。


この間届いたタンザとハックの手紙に書いてあったじゃないですか」


「おお、そうだった、確か目隠ししている刺繍屋の女の子と暮らしているんだってな。


おとなしそうな顔して、意外とやるやつだな、あいつ」



がはは、と古株の男が豪快に笑った。


つられて男たちも笑い、野太い声が森に反響する。


青年は頬杖をつき直して、すっかり冷めてしまった茶を飲んだ。


再び頭が青年の方へ身を乗り出す。



「お前さん、この先ルースへ行くときがあったら会いに行ってみろよ。


凄腕同士、気が合うかもしれねえぞ」


「うーん、予定はないけど、その修理屋のことは覚えておこうかな」


「それで二人ででっかい修理屋でも開いたらどうだ。


けっこう稼げそうじゃねえか」


「お、確かに」



本人をそっちのけで、青年と修理屋が組んだ場合のことを狩猟たちは楽しそうに話し出す。


我関せずという態度でいる青年を、老人がやれやれといった笑みを浮かべて見ていた。




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