極彩色のクオーレ
「そういうものなのか」
「ああ、早くじーさんの同類に会いたくて仕方ないよ。
もう片方の話が、果たして本当かどうかってのも気になるし」
「本当だ、と言っても君は信じないだろうな。
だが、わしの同胞が生きているとは正直考えにくい。
わし自身、途中で死んでいてもおかしくない生き方をしてきたからな、天寿を全うできそうなのが奇跡だよ」
「それなら、じーさん以上の奇跡がおれに降ってくれないとな」
分かれ道に差し掛かる。
地図によれば片方は山へと続き、もう一方は太い河川へとつながっている。
老人は山の道を、青年は河川への道を選んだ。
「さて、ここで君ともお別れだな。
わしも旅を始めてからずいぶんと経つが、こんなに愉快な三か月間はなかった。
一人旅も気ままでいいが、たまには誰かと並んで進むのも悪くない」
「おれも楽しかったぜ、波長が合ったからここまで二人旅が続いたんだろうな。
おれ、人は好きだけど嫌いだからさ」
「どっちなんだ」
「どっちもだよ。それに、なかなか聞けない話も教えてもらえたし」
青年がにやりと笑うと、老人も似たような表情になった。
紫煙を吐き出し、面白そうに身体を揺する。