極彩色のクオーレ
耳まで真っ赤にしたギベオンが、足元に転がっていた部品を拾って投げる。
額にあたり、ケセラは痛そうにそこを押さえて身体を折った。
「……次、そのことしゃべったら殺す」
「な、なんで?
僕嘘ついてないよ?本当にそう思ったんだよ」
「今すぐその猫舌抜くぞ」
「ええっ!?」
立ち上がったギベオンは袖からペンチを取り出し、ケセラの胸ぐらを掴んだ。
ペンチの先が鈍く光り、見習いの鍵職人は青ざめる。
「ギベオン!?ど、どうしたの?
なんでそんなに怒ってるの、怖い怖いっ、ペンチしまって!」
「その貧弱なペライ胸に手を当ててよぉっく考えろ!
他にもあちこち引っこ抜かれたいの?」
「そ、そんなこと思ってないよ!」
意味を理解できていないケセラは既に泣きかけている。
ギベオンはますます表情を険しくした。
怒っている原因が、彼の態度に変わったようである。
「……なあ」
「あん?」
流れ弾が飛んでこないように離れたタンザは、同じように避難したハックに尋ねた。
「アレは擁護のしようがないよな」
「異議なし、あれは完全にケセラが悪い」
「あいつってバカなの?
それともただの死にたがりか?」
「いや、あれは素だろ。
ああいうタイプって、理解するまであんなだから面倒だよな」