極彩色のクオーレ
「ティファニーは確かにかわいいけど、そんなことはしねえよ。
オレ、そこまで女に飢える性格じゃないし。
んまあ、脱線しそうだから、話戻すぜ」
またラリマーが手をひらりと振る。
特にこれといった意味のない無駄な仕草のようだ。
「別にくだらないことじゃねえよ、重要な話だからな」
「あんたの重要なんてたかが知れてるわ」
「リビア、話を聞ク前から決メツケるのは、アまりよくナイことでハないかと思ウ」
ソファのすぐ傍の床で正座をするレムリアンが、主をやんわりといさめる。
それにラリマーが「そうだそうだ」と同調し、危うくまた脛を痛くされそうになった。
突然のことに、被害を受けていないケセラが泡を吹きかける。
兎の人形を鞄にしまって、リビアは足を組んだ。
「そこまで言い張るなら、聞いてあげるわ。
ほら、もったいぶらないでさっさと話しなさい」
それはもったいぶっているのではなく、先陣をきって話の腰を折っているあなたが原因なのでは?
その場にいた全員がそう思ったが、鎌の餌食になりたくないので黙っていた。
ラリマーがわざとらしく空咳を繰り返す。
それからテーブルに両肘をつき、指を組み、真剣な顔つきになった。
声もいくらか低くなる。