メビウス
超鈍感な自分にあきれつつも恐る恐る顔を上げる。



「……え?アキラ、君?」

「おう。久しぶりだな、ユミ」



ニカッと笑うこのアキラ君は、隣の家に住む二つ年上の幼なじみ。

昔から両親共働きだった私の相手を家族ぐるみでしてくれて、本当のお兄ちゃんみたいな存在。


……だったんだけど、気付いたら何だか意識しちゃってて逆に話せなくなっていた。

だから、こうやって面と向かってやり取りするのは本当に久しぶりな気がする。
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