メビウス
聞けば、アキラ君がこうなってしまった日―――私が意識を取り戻した数時間前らしい―――から、ろくに食事も摂らずにずっとここにいるらしい。



「もう、アキラったらバカなんだから……居眠り運転なんかして、電柱に激突したみたいで……こんな……」

「でっ……でもほら、目が覚めた時おばさんがそんなに痩せてたら今度はアキラ君が心配しちゃうよ?私もお母さん見てびっくりしたもん。だからご飯だけでも食べて!ね!」



話しながら泣きそうになるおばさんを少ないレパートリーで必死に励ます。



少し元気になったおばさんの話し相手として同じ境遇のお母さんを残し、私はアキラ君の病室を後にした。

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