私の意地悪な旦那様
少しして鳴った携帯に、そういえばまだ功希仕事中だった!と慌てる。
でも本人はそんな様子なく、しばらく何か話した後、すくりと立ち上がった。
「会社戻る。鍵閉めておいて」
「待って」
私の横に置いてあったネクタイを掴む。
「ネクタイ忘れてる」
手に取ったネクタイを首へと回せば、キュッと元の形へと作り直した。
「いってらっしゃい!」
そう、背中を押すように送り出した私の心は、さっきまでとは打って変わって晴れ渡っていた。
その夜。
帰ってきた功希は何故か機嫌が悪くって。
きっと会社に戻るの遅くて怒られたんだ。
そう聞けば「バカ」と言う言葉とともにチョップをくらった。