私の意地悪な旦那様
「欲しいなら、自分から来なよ」
「ほら」と急かすように屈んで、キスしやすいようにしてやる。
そんな俺の前で恥ずかしそうに視線をさまよわせた後、ゆっくりと近づいて優しくキスを落とした莉乃の頭をそのまま押さえつけた。
「んっ………」
息苦しくなって、空気を求めて開いた口に容赦なく侵入する。
もういいかな。と顔を離せばお互いの間を銀色の糸が張っては消えた。
「このぐらいしないと、満足出来ないでしょ」
そう言えば、ぼっと耳まで真っ赤にした莉乃。
つい伸びた手を頭へと乗せ、ゆっくりと左右に動かした。
「ほら、早くしないと次の授業遅れるよ」
ここから見える時計を指差して言えば、慌てて駆けていく。
その後ろ姿を見送った後、物陰に隠れていた存在へと足を向けた。