私の意地悪な旦那様
*「好きにすれば?」の方程式
「織部先輩!おはようございます!」
たまたま早起きした日、早めに学校に行ってゆっくりしようといつもより随分早くに家を出る。
そして学校への最寄り駅を降りたところで、少し先に思いもよらないシルエットを見つけ、足早に駆け寄って行ったのだった。
「あぁ、君か」
「先輩、いつもこの時間なんですか?」
「まぁ、そうだけど」
「私もこれからこの時間に来ようかなぁ……」
何も言ってくれない先輩に、少し落ち込む。
さすがにストーカーみたいで気持ち悪かったかな……。
口を開いてくれない先輩と、一定の距離を保って歩く。
足の長い先輩と並んで歩くには少し足早にしなければならなくて、話す以前に歩くことに必死だった。
だから、何にも喋ることなく気まずいはずなのに私にとっては全然そんなことなく、むしろその日は先輩と登校できたことで気分は舞い上がっていた。