天気坂。
いち。
“‥リリ‥ジリリリ‥
ジリリリリリ!!”
「‥ぅん‥?う‥ぅわぁぁぁぁぁ!」
【サイドで高い位置に髪をまとめた少女】であるはずの少女は、ぼさぼさに広がった髪をさらに取り乱して叫んでいた。
木々のしげりが夜風にゆらぐ音の代わりに、時計の音が冷たく響き、針は8時20分を指している。
朝礼まであと10分。
ものすごい勢いで制服に着替え、歯を磨く。
そして髪を、いつものサイドポニーにまとめる。
よし。ここまで約4分。
「ひっへひまふ!」
食パンを口にくわえて家を飛び出した彼女は、重要なことに気付き、再びドアを開ける。
洗面台まで走ると、蛍光イエローのシュシュをつかむ。
そのまま走って、家をでた。
‥‥そのとき。