最後の言葉~お姉ちゃん、ありがとう。~

家の前に着いたけど…
ドアノブに手をかけようとすると震えてつかめない。
私の家は父が昔事故で他界し、お母さんが女手一つで私達2人を支えてくれている。
だからいつも夜は21時や22時に帰ってくる時が多い。
その時が何ともいえない辛い時なのだ。

意を決してドアを開ける。
ゆっくりと重い足を前へ前へと動かす。
リビングに着くと、ソファーには姉が寝ていた。
わたは少しホッとし、2階にある自分の部屋へと足を運ぼうとした。
すると…

「帰って来たんならただいま位言いえ!」

お姉ちゃんがいつものイラついている目を向けながら言う。
こっちだって起きてるならおかえり位言ってよ…

『…っ!?た、たたたたた…ただ…いま
…』

動揺したうちは、いつもより小声で言った。

「あぁ、なんかお腹すくなー
何か食べたいなー」

お姉ちゃんがわざとらしくうちに聞こえるように言う。

『な、何か…食べる…?作るけど…?』

恐る恐る聞いたうちの前にお姉ちゃんが一歩、また一歩とこちらへ歩いて来る。

目の前まで来た時…
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