ひだまりシュガー ~イケメン達の秘密ノート~
眠れるわけがなかった。
王子は今何をしてるんだろう。
王子のこと、知ってると思ってたけど何も知らないよ。
王子は今、女の人と一緒にいるかも知れない。
何も知らない。
王子のこと、何も知らないんだって気付いて、なんだかとても遠くに感じた。
鳴らない携帯電話の画面。
昨日かかってきた時の着信の画面にして、王子の名前を見つめた。
『清水晴斗王子』
もうかかってこないの?
私は電気を消した部屋で、携帯の画面の明かりで天井を照らした。
泣けてきた。
こんな気持ち初めてだった。
最初から知らない方が良かったのかも知れない。
変に期待しちゃって、近付いた気になった分、悲しいよ。
手に入るかも知れないと思っていたんだと気付き、悲しくて涙が止まらなかった。
その時、携帯の画面が赤く光った。
――非通知――