ひだまりシュガー ~イケメン達の秘密ノート~
王子は、さちこからの電話をブチっと切り、立ち上がった。
「今日もチャリ乗って帰れよ。今度こそ返すのいつでもいいから。」
自転車だけが2人を繋ぐものだね。
私はこの自転車をずっと返せないかも知れない。
自転車を返せば、私と王子は会う理由がなくなる。
「晴斗さん、本当にありがとうございました。めっちゃ幸せでした。ずっと好きです・・・」
「ずっと好き・・・か。やっぱり嬉しいもんだな・・・陽菜、元気でな!」
自転車から手を振った。
笑顔を覚えていて欲しいから精一杯の笑顔で手を振った。
でも、心の中は泣いていた。
「おい!!ちょっと待て。」
王子が、自転車に乗る私に近付いた。
「寂しいな・・・自分で出した結論なのに、お前を抱きしめたくてしょうがない。」
「晴斗さん・・・幸せになってください。応援してます。」
王子は、私がそう言うと、一瞬寂しい表情をした後、にっこりと微笑んだ。
今度こそさよなら。
大きく手を振って、王子から離れていく。