ひだまりシュガー ~イケメン達の秘密ノート~
「どうして、僕が・・・」
小早川は、不満そうに立ち上がったが、本読みは完璧で、本当に光源氏が乗り移ったようだった。
古典は苦手だし、何を言おうとしているのかイマイチ理解できなかったが、小早川の話す光源氏の言葉は、スッと心の中に入ってくる。
そして、藤壺へ愛を伝える場面で、私は泣きそうになってしまったんだ。
あまりにも、小早川が真剣だから・・・
この人は、きっと誰かに恋をしている。
それは、新井佐知子じゃない。
きっと・・・きっと・・・
亜沙子だ!!!
小早川、あんたは、今、亜沙子を想って読んでいる。
小早川の視線が、亜沙子の後ろ姿に向けられていることに気付いてしまった。
読み終わると、小早川は愛しそうに亜沙子を見つめていた。
勘違い?
ううん、違う。
とても切ない目をしていた。
わかるんだ。
私も今は、本気の恋をしているから。
小早川は、絶対に亜沙子に特別な感情を抱いているはず。