ひだまりシュガー ~イケメン達の秘密ノート~
助手席に座り、運転席の指輪の箱を眺めた。
王子、私は幸せ者だ。
本当に好きな人と付き合うことができた。
でも、その影では泣いている人がいるんだね。
優雅も、新井先生も・・・山田も喫煙女も。
そう思うと、今の幸せがどれほど大事なのかってわかる。
―コンコン!!
助手席の窓を叩いたのは、王子だった。
「心配して、泣きそうだった?」
運転席に座った王子は、お尻に当たる小箱にも気付かずにいじわるな表情でそう言った。
「ちゃんと別れたから。あいつもちゃんと前見て生きて欲しいから、最後に話しに行った。悪かったな、心配させて。」
珍しく真剣な表情の王子が、私から目をそらしたまま言った。
「さっき、優雅が来たんだ。大丈夫だから安心しろって。」
そう言うと、王子は私に顔を近づけて、私を睨んだ。
「なぁ、あんな優しい男いないぞ。いいのか、俺で。優雅に惹かれてんなら、正直に言えやぁ!」
「優雅は好きだけど、友達としか思えない。私が好きなのは晴斗さんだけ・・・」
あまりに顔が近くて、またキスの予感がした。
「優雅のこと好きって言った?」
「あ、だから、友達として!!」
王子は、もっと顔を近づけて、私の頬に触れた。
「キスしてやろっか?」