ひだまりシュガー ~イケメン達の秘密ノート~
大きな声が響いて、喫煙女はビクっとして王子から手を離した。
「あ~!あん時のガキ!おめ~ら、ちゃんと授業受けろよな。寝てばっかり。」
王子は、私達が立っている扉の方に歩いてきた。
「山田、ちょっと質問コーナーの続きやって来るから、席外すわ!」
王子が喫煙女に「山田」って言ったことに少しホッとした。
付き合っているなら下の名前で呼ぶよね?
でも、職場では内緒ってこともあるか。
もう腕まくりをしている王子。
ネクタイも緩めていて、面倒臭そうにあくびをした。
でも、ちゃんと相手にしてくれた。
扉を開けて、廊下に出た。
「はい、ど~ぞ。質問って何ですか?」
また仕事モードになった王子に私は爆笑してしまった。
「こらぁ、笑うな。おめ~、俺のこと二重人格とか思ったべ?」
私は大笑いしながら、声も出ずに頷いた。
コツン・・・
王子は私の頭をコツンってした。
さっき優雅にされたのと同じように。
でも、優雅にされた「コツン」の感触はもう覚えていない。
でも、王子の「コツン」は・・・
きっとずっと忘れない。