男だったら
ブンッ! ブンッ! ブンッ!


「もっと脇しめて振れよ」


「おはようございます。伊東先輩」


翌日の朝5時30分。
グラウンドで一人、素振りの練習をしていると、伊東先輩がやって来た。


「いつも言ってるが、朝練は6時からだぞ」


「分かってます。
でも私、いつも朝早くに目が覚めちゃうんです」


「何時?」


「4時です」


「早っ。年寄りかよ」


年寄りって……。


「それだったら、伊東先輩も年寄りじゃないんですか?
4時ぐらいに起きないとこの時間に来れませんよね?」


私と伊東先輩の住んでいる所は近いから、学校に来るまでの所要時間は大体同じなはずだ。


「俺の場合は…仕方なく起きてんだ。
朝早くにグラウンドに一人で素振りしてやがる女がいるからな」
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