10円玉、消えた
いまこの勤続20年を振り返ると、自分でも怖いくらい順調に来たなと彼は感じる。
もちろん自分自身の頑張りもあったからこそなのかもしれないが、やはり“運”にも恵まれていた。
なにせ自分の狙いがズバズバと当たったのだからそう思って当然だ。
そしてプライベート。
取引先の女子社員と知り合い、入社3年目で結婚。
周りが羨むほどの美人の里美を妻に持つことができた。
里美は非常に家庭的で、また竜太郎が仕事仕事で明け暮れても何一つ文句も言わず、夫をしっかりと支えるいい女房であった。
思春期の頃に“将来”について大いに悩み、そして結局はこの道を選んだ。
その選択は決して間違いではなかったんだな、と彼は実感する。
ただ気がかりは子供がいないこと。
そして仕事に熱中するあまり、妻・里美を殆ど構ってやれなかったことだ。
そのため竜太郎は考えた。
これからは里美との二人の生活にもっとウェートを置いていこう、と。
二つ下の里美も今年で44歳。自分はもうすぐ46だ。
お互い50を過ぎたら色々と億劫になる。
だからいまのうちに旅行をたくさんしておこう。
有給休暇はかなり溜まっているのだから。
仕事はそこそこでいいじゃないか。
もちろん自分自身の頑張りもあったからこそなのかもしれないが、やはり“運”にも恵まれていた。
なにせ自分の狙いがズバズバと当たったのだからそう思って当然だ。
そしてプライベート。
取引先の女子社員と知り合い、入社3年目で結婚。
周りが羨むほどの美人の里美を妻に持つことができた。
里美は非常に家庭的で、また竜太郎が仕事仕事で明け暮れても何一つ文句も言わず、夫をしっかりと支えるいい女房であった。
思春期の頃に“将来”について大いに悩み、そして結局はこの道を選んだ。
その選択は決して間違いではなかったんだな、と彼は実感する。
ただ気がかりは子供がいないこと。
そして仕事に熱中するあまり、妻・里美を殆ど構ってやれなかったことだ。
そのため竜太郎は考えた。
これからは里美との二人の生活にもっとウェートを置いていこう、と。
二つ下の里美も今年で44歳。自分はもうすぐ46だ。
お互い50を過ぎたら色々と億劫になる。
だからいまのうちに旅行をたくさんしておこう。
有給休暇はかなり溜まっているのだから。
仕事はそこそこでいいじゃないか。