10円玉、消えた
夏休み中、竜太郎はその“美登里用”の漫画をしゃかりきに描いた。
普段描くより倍の時間をかけて、念入りに仕上げていった。
ところが、ほぼ完成したにも関わらず、竜太郎はその漫画を途中で断念することになった。
美登里にフラれたわけではない。
彼女にはすでに付き合っているボーイフレンドがいたのだ。
しかもそのボーイフレンドは、近所の同級生・友和であった。
わかったのは、珍しく彼と一緒に街に出て遊んでいた際のこと。
会話の中で、まだ友和には読ませていなかった新作を、なぜか彼が話題に出したため竜太郎はおやっと思った。
「トモ、なんで新作の内容を知ってんの?」
「美登里が貸してくれたから読ませてもらったんだ」
「え?美登里?」
「実は俺、いま美登里と付き合ってんだ」
竜太郎は大変なショックを受けた。
それは当然である。
その日家に帰った竜太郎は、完成間近の三太郎の漫画をビリビリに破いてゴミ箱に捨てた。
聞けば友和と美登里は、すでに一学期の途中から付き合っていたらしい。
そんなことも知らずプロポーズ代わりにせっせと漫画を描いてたなんて、とんだお笑い草だ。
竜太郎は自分の愚かさを嘆いた。
普段描くより倍の時間をかけて、念入りに仕上げていった。
ところが、ほぼ完成したにも関わらず、竜太郎はその漫画を途中で断念することになった。
美登里にフラれたわけではない。
彼女にはすでに付き合っているボーイフレンドがいたのだ。
しかもそのボーイフレンドは、近所の同級生・友和であった。
わかったのは、珍しく彼と一緒に街に出て遊んでいた際のこと。
会話の中で、まだ友和には読ませていなかった新作を、なぜか彼が話題に出したため竜太郎はおやっと思った。
「トモ、なんで新作の内容を知ってんの?」
「美登里が貸してくれたから読ませてもらったんだ」
「え?美登里?」
「実は俺、いま美登里と付き合ってんだ」
竜太郎は大変なショックを受けた。
それは当然である。
その日家に帰った竜太郎は、完成間近の三太郎の漫画をビリビリに破いてゴミ箱に捨てた。
聞けば友和と美登里は、すでに一学期の途中から付き合っていたらしい。
そんなことも知らずプロポーズ代わりにせっせと漫画を描いてたなんて、とんだお笑い草だ。
竜太郎は自分の愚かさを嘆いた。