10円玉、消えた
しかしその頃の竜太郎には、将来に対する考えに微妙な変化が現れ出してもいた。
『らあめん堂』を継ぐのも悪くないな、と思うようになっただ。
ズルズルと音を立ててラーメンを口に運ぶ客。
夢中でオムライスを口に頬張る子供。
弾む会話。
食べ終わったときの満足感いっぱいの顔。
「ご馳走さん。美味かった、また来るよ」
と言ってオヤジがお金を差し出す。
「毎度ありがとうございます」
幸子がお釣りを渡しながら笑顔を返す。
活気のある店内の様子を見ていると、やっぱり店っていいもんだなあ、としみじみ感じる。
竜太郎はふと、源太郎が昔言ってたことを思い出した。
「精魂込めて作ったラーメンを、お客さんが“美味しい”て言って喜んでくれる。そんときは店やっててホントによかったって思う。そんな気持ち、サラリーマンにゃ絶対味わえねえ」
でも漫画家を目指す気持ちも捨てられない。
漫画を描いているときの充実感、これも他では絶対に味わえないものだ。
そして自分の描いた漫画を読んで、感動しくれたり喜んでくれたりしたら、そんなに素晴らしいことはない。
結局竜太郎は、将来について再び頭を抱えることとなったのである。
『らあめん堂』を継ぐのも悪くないな、と思うようになっただ。
ズルズルと音を立ててラーメンを口に運ぶ客。
夢中でオムライスを口に頬張る子供。
弾む会話。
食べ終わったときの満足感いっぱいの顔。
「ご馳走さん。美味かった、また来るよ」
と言ってオヤジがお金を差し出す。
「毎度ありがとうございます」
幸子がお釣りを渡しながら笑顔を返す。
活気のある店内の様子を見ていると、やっぱり店っていいもんだなあ、としみじみ感じる。
竜太郎はふと、源太郎が昔言ってたことを思い出した。
「精魂込めて作ったラーメンを、お客さんが“美味しい”て言って喜んでくれる。そんときは店やっててホントによかったって思う。そんな気持ち、サラリーマンにゃ絶対味わえねえ」
でも漫画家を目指す気持ちも捨てられない。
漫画を描いているときの充実感、これも他では絶対に味わえないものだ。
そして自分の描いた漫画を読んで、感動しくれたり喜んでくれたりしたら、そんなに素晴らしいことはない。
結局竜太郎は、将来について再び頭を抱えることとなったのである。