10円玉、消えた
高校二年生の春、竜太郎に初めての“彼女”ができた。
同じ部で同級生の水沢薫という女の子だ。
美術部の同級生・男女合計7人は、なぜか一年生時から結束があり、みんなでよく遊びにも行った。
そうしてるうちに竜太郎は、薫を強く意識するようになっていた。
そして二年生になった春、ゴールデンウイーク間際に、竜太郎は薫にストレートにプロポーズ。
元々竜太郎に好意を抱いていた薫はすんなりOK。
こうして二人の交際が始まった。
もっともこの時代の高校生の交際は、手を握ったり、せいぜいキス止まりの程度のものが多く、この二人もその例外ではなかった。
薫は河合奈保子似のぽっちゃりとした可愛い娘。
明るく活発で、どちらかというとのほほんとしたタイプの竜太郎とは正反対。
だからこそ余計に互いに強く惹かれ合ったのであろう。
薫と付き合うようになってから、竜太郎の心から“父の失踪”という暗い影は完全に消えた。
将来への悩みは抱えつつも、竜太郎はまさに青春時代を謳歌していたのだ。
そして高校生活を楽しく送る息子の姿を見て、幸子は心底幸せな気持ちになった。
杉田が来てからいいことばかり。
これがずっと続くように、と幸子は願った。
同じ部で同級生の水沢薫という女の子だ。
美術部の同級生・男女合計7人は、なぜか一年生時から結束があり、みんなでよく遊びにも行った。
そうしてるうちに竜太郎は、薫を強く意識するようになっていた。
そして二年生になった春、ゴールデンウイーク間際に、竜太郎は薫にストレートにプロポーズ。
元々竜太郎に好意を抱いていた薫はすんなりOK。
こうして二人の交際が始まった。
もっともこの時代の高校生の交際は、手を握ったり、せいぜいキス止まりの程度のものが多く、この二人もその例外ではなかった。
薫は河合奈保子似のぽっちゃりとした可愛い娘。
明るく活発で、どちらかというとのほほんとしたタイプの竜太郎とは正反対。
だからこそ余計に互いに強く惹かれ合ったのであろう。
薫と付き合うようになってから、竜太郎の心から“父の失踪”という暗い影は完全に消えた。
将来への悩みは抱えつつも、竜太郎はまさに青春時代を謳歌していたのだ。
そして高校生活を楽しく送る息子の姿を見て、幸子は心底幸せな気持ちになった。
杉田が来てからいいことばかり。
これがずっと続くように、と幸子は願った。