I♡U
夢を見た
もう何ヶ月も見ることのなかった夢を


傷ついてばかりの恋を
忘れるように
がむしゃらに働いて
気持ちも体もボロボロだった


いつものように
会社帰り友人と「結婚」の話
夢を膨らませる友人の目は輝いて
幸せだから笑顔が眩しかった

いつかあたしも誰かを
こんなふうに愛せるのだろうか
こんなふうに誰かを愛して強くなれるのだろうか


不安がこみ上げて
夜の満員電車で何度涙を流したろう


もう恋愛が出来ない気がしてたから…



いつもの時間に帰宅
お風呂から出てきて深いため息
昔からよく言われた

「ため息は幸せが逃げる」

そのとおりなんだって身にしみた
冬の訪れを教えてくれるような
寒さを感じた夜だった


布団にくるまりながら
夢を見た

一人ベッドで眠るのもなれた

昔、憧れて片思いをした彼。
夢の中で笑うあなたは
身長の低いあたしの頭を撫でながら
あたしな手料理を
ニコニコして笑って
口にケチャップをつけて
笑うあたしの口に指を触れた

当たり前のような日々が
いとも簡単に壊れた
「俺を信じて」
「そんなこと言わないで」
いつも強気だった彼から
いわらせてしまった言葉

「幸せに生きてね」
大好きなあなたの笑顔からこぼれた涙

もっともっと素直に純粋に
あなたの言葉を信じれれば
もっと違う未来が二人にあったのかな



ジジジジー…

忙しなくなる目覚ましを止めた
涙がこぼれるほど愛したあなたは
今は幸せに生きていますか?


あたしはまた今日を
忙しなく生きているよ


変わらない毎日で
一つだけ変わったことがあるよ


愛されていたことが
自信になれて
また恋をしたいって
思えたよ

-行ってきます-

返事が返って来ないことなんて
わかりきってるけど、少しだけ
いつもより笑顔で玄関を出れた


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