戦乙女と紅~東方同盟の章~
馬を厩舎当番の騎士に任せ、俺は城下町を歩く。
赤い屋根に白壁の町並み。
すれ違う人々が俺に気軽に声をかける。
腕白小僧どもも元気そうだ。
カイトとエレナが俺の外套の裾にまとわりついた。
遊んでやりたい所だが、まずは乙女への報告が先だ。
俺は王宮へと真っ直ぐに向かった。
…大理石の壁に荘厳な佇まい。
この王宮も久しぶりのように感じる。
赤い絨毯の敷かれた長い廊下を歩くと、やけに懐かしい気分に浸った。
乙女は相変わらずこの廊下をドレスのままで走っているのだろうか。
…玉座の間の扉の前に立つと、柄にもなく胸が高鳴った。
「紅だ、入るぞ」
重々しい音を立てる扉を開け、入室する。
「紅っ!!」
澄ました顔をして玉座に座っていたであろう乙女は、俺の顔を見た途端に立ち上がって駆け寄ってきた。
「女王がたかだか武術指南の男に駆け寄ってはまずいのではないか?」
「知るものか。ここは私の国だ。私の流儀で行く」
そう言って乙女は俺の手を取った。
「よく無事で戻ってくれた。長旅ご苦労であった。疲れただろう?」
本当に嬉しそうに、宝石のような瞳を輝かせて乙女は言う。
女王たるもの、感情の起伏を兵や民衆の前で見せるものではないのだが、これもまた女神国流だ。
普通の町娘のように俺の帰還を喜ぶ乙女の姿を、臣下の者も微笑ましく見守っていた。
赤い屋根に白壁の町並み。
すれ違う人々が俺に気軽に声をかける。
腕白小僧どもも元気そうだ。
カイトとエレナが俺の外套の裾にまとわりついた。
遊んでやりたい所だが、まずは乙女への報告が先だ。
俺は王宮へと真っ直ぐに向かった。
…大理石の壁に荘厳な佇まい。
この王宮も久しぶりのように感じる。
赤い絨毯の敷かれた長い廊下を歩くと、やけに懐かしい気分に浸った。
乙女は相変わらずこの廊下をドレスのままで走っているのだろうか。
…玉座の間の扉の前に立つと、柄にもなく胸が高鳴った。
「紅だ、入るぞ」
重々しい音を立てる扉を開け、入室する。
「紅っ!!」
澄ました顔をして玉座に座っていたであろう乙女は、俺の顔を見た途端に立ち上がって駆け寄ってきた。
「女王がたかだか武術指南の男に駆け寄ってはまずいのではないか?」
「知るものか。ここは私の国だ。私の流儀で行く」
そう言って乙女は俺の手を取った。
「よく無事で戻ってくれた。長旅ご苦労であった。疲れただろう?」
本当に嬉しそうに、宝石のような瞳を輝かせて乙女は言う。
女王たるもの、感情の起伏を兵や民衆の前で見せるものではないのだが、これもまた女神国流だ。
普通の町娘のように俺の帰還を喜ぶ乙女の姿を、臣下の者も微笑ましく見守っていた。