戦乙女と紅~東方同盟の章~
王宮の前に馬車を横付けされ、私は入り口の前に降りた。
「どうぞこちらへ」
騎士に案内されて玉座の間に向かったものの、とても一人で帰る自信がないほどの複雑な道順だった。
何度曲がり角を曲がったか、既に記憶があやふやになる頃。
「こちらでございます」
騎士は一際大きな、黄金の装飾の施された扉の前に立ち止まった。
「獅子王、女神国の女王陛下をお連れ致しました」
「入れ」
野太い声が聞こえる。
「どうぞ」
騎士が扉を開く。
…長い長い絨毯敷きの玉座の間の突き当たりに。
「よく来たな、戦乙女殿」
玉座に頬杖をついて座り、膝を組んで不敵な笑みを浮かべる獅子王の姿があった。
「突然の会談に応じて頂き、感謝する」
二、三歩歩み出て、私は王族流の挨拶をする。
「して、用件は何だ」
「先日の同盟の件だ」
私は真っ直ぐに獅子王を見て言った。
「貴方が私に対していい感情を抱いていないのはよくわかった。その事に対して文句はないし、苦言を言うつもりもない。だが、同盟は私と獅子王個人の事ではなく、国と国との問題だ。どうか快く同盟に参加してはいただけぬか」
「何を言うかと思えば」
獅子王は笑った。
「どうぞこちらへ」
騎士に案内されて玉座の間に向かったものの、とても一人で帰る自信がないほどの複雑な道順だった。
何度曲がり角を曲がったか、既に記憶があやふやになる頃。
「こちらでございます」
騎士は一際大きな、黄金の装飾の施された扉の前に立ち止まった。
「獅子王、女神国の女王陛下をお連れ致しました」
「入れ」
野太い声が聞こえる。
「どうぞ」
騎士が扉を開く。
…長い長い絨毯敷きの玉座の間の突き当たりに。
「よく来たな、戦乙女殿」
玉座に頬杖をついて座り、膝を組んで不敵な笑みを浮かべる獅子王の姿があった。
「突然の会談に応じて頂き、感謝する」
二、三歩歩み出て、私は王族流の挨拶をする。
「して、用件は何だ」
「先日の同盟の件だ」
私は真っ直ぐに獅子王を見て言った。
「貴方が私に対していい感情を抱いていないのはよくわかった。その事に対して文句はないし、苦言を言うつもりもない。だが、同盟は私と獅子王個人の事ではなく、国と国との問題だ。どうか快く同盟に参加してはいただけぬか」
「何を言うかと思えば」
獅子王は笑った。