戦乙女と紅~東方同盟の章~
違う…違う!

瞳に涙を浮かべて、私は弁解する。

確かに兵士が死ぬ事も、戦場で敵兵を殺さねばならぬ事も予期できた。

だが私自身が望んで戦いを仕掛けた事などないし、殺さねばならぬ敵兵も出来る限り数を減らした。

自軍の兵士だって、私に可能な限り守ったのだ。

犠牲は最小限に済むように…!!

「つまり数が少なければ死ぬ事は許されるのか?命の重みを考えた事はないのか?」

「…!!」

どんなに弁解しようと、獅子王の追及の手は緩められぬ。

私は追い詰められていく。

堪えきれず、涙が零れ落ちた。

「泣けば済むと思ったか?お前が戦地に駆り立てた兵士の家族は、恋人は、親は、子供は、どれだけの涙を流したと思う?」

「もう…やめてくれ…」

「貴様が誇りだ騎士道だと謳って兵を煽動した結果、兵士の命も、敵兵も、その家族も、多くの者が不幸の淵に叩き落とされたのだ」

「お願い…やめて…」

「そうやって今の貴様と同じく、許しを乞いながら何百、何千人の兵士が死んでいったと思っている?」

気が…狂いそうだった…!!

「もうやめてぇえぇぇえぇえぇっ!!!!!」

< 35 / 79 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop