戦乙女と紅~東方同盟の章~
カイトは鼻の下を指で擦りながら言う。

「きいたぞおとめ!『くろのりょだん』ってわるものやっつけたんだろ?」

全く、そんな話をどこから聞いてきたのか。

梟亭の客の会話でも聞いたのかもしれない。

「ああ。この国に悪い事をしようとしていたのでな」

私は腰を屈め、カイトの目線で話をする。

「なんでおれもよばなかったんだよー!おれだったら、あっというまにぜんいんやっつけてやるのに!」

頼もしいカイトの発言。

女神兵に招き入れれば、一騎当千の働きをしてくれそうだ。

「おれは、くれないよりもやくにたつぞ?」

…カイトは、私の街の散策に時々ついて来る紅の事も知っていた。

とっつきにくい紅にライバル心を剥き出しにしているが、実は彼の格好良さに憧れていたりもするらしい。

「そうか。ならば次に機会があればカイトの力を借りるとしよう。私を守ってくれよ?」

「いいぞ!」

カイトは胸を張る。

「けらいをまもるのは、おれのやくめだからな!」

一端に主君のつもりなのだろうか。

微笑ましい発言だ。

と。

「ねぇ、おとめねえね」

エレナが私のドレスの袖を指先で引っ張った。

「ん?何だエレナ?」

柔らかなエレナの金髪を撫でる私。

…彼女は少し躊躇いがちに。

「おとめねえねは、わるもののひとをころしたの?」









心臓を鷲掴みにするような言葉を口にした。


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