戦乙女と紅~東方同盟の章~
「何という事を…獅子王…」
ギリ、と。
誰かの歯軋りの音。
私は尚も何もない中空に視線をさ迷わせる。
目は開いている。
だが、見ているようで見ていない。
呼吸はしている。
だが、生きているようで生きていない。
生ける屍。
子供を恐れさせる作り話の中に、そんな怪物が登場するが。
…今の私は、まさにその生ける屍かもしれない。
「水を浴びせた上にこんな冷え切った部屋で放置とは…非道な…!!」
誰かが私の体を抱きしめる。
赤い外套で、冷え切った体をくるんでくれる。
既に震える事さえ出来なくなった凍りついたような体に、幾分かの温もりが戻ってくる。
だが寒い。
体よりも、心の方が寒かった。
…私に優しくしないでくれ。
私を助けないでくれ。
私は責められるべき人間なのだ。
多くの者を殺し、多くの者を死地に導き、多くの者から大切な人を奪った。
誰よりも多くの命を奪った大罪人。
私は責められ、罵られ、忌み嫌われるべき存在なのだ。
私に、優しくしないでくれ…。
ギリ、と。
誰かの歯軋りの音。
私は尚も何もない中空に視線をさ迷わせる。
目は開いている。
だが、見ているようで見ていない。
呼吸はしている。
だが、生きているようで生きていない。
生ける屍。
子供を恐れさせる作り話の中に、そんな怪物が登場するが。
…今の私は、まさにその生ける屍かもしれない。
「水を浴びせた上にこんな冷え切った部屋で放置とは…非道な…!!」
誰かが私の体を抱きしめる。
赤い外套で、冷え切った体をくるんでくれる。
既に震える事さえ出来なくなった凍りついたような体に、幾分かの温もりが戻ってくる。
だが寒い。
体よりも、心の方が寒かった。
…私に優しくしないでくれ。
私を助けないでくれ。
私は責められるべき人間なのだ。
多くの者を殺し、多くの者を死地に導き、多くの者から大切な人を奪った。
誰よりも多くの命を奪った大罪人。
私は責められ、罵られ、忌み嫌われるべき存在なのだ。
私に、優しくしないでくれ…。