戦乙女と紅~東方同盟の章~
乙女は本当に愚か者だ。

こんな不器用な生き方をしても、困難が降りかかるだけだろうに。

だから大抵の者は理想を捨てる。

「もう一度訊くが…『とうの昔に理想など捨てた』と言ったな、獅子王」

俺は言う。

「綺麗事が不快で袂を分かつのならばそれもいい。別の理想を追うのならばそれでも構わん。だが」

俺はもう一度吼えた。

「貴様が抱えきれずに諦めて捨てた理想を、乙女は苦しみながらも捨てずに抱えているのだ!!己が悪名を受ける事を恐れ、苦しみに耐え切れずに捨てた貴様が、乙女を罵る資格などない!!!」

「…………っ!!!」

最早獅子王には言葉もなかった。

完全に論破された格好だ。

「さぁ…乙女」

俺は乙女の肩に手を置く。

「お前はどうなのだ。言うべき事があればここで言っておくといい」

















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