別冊 当て馬ならし
と・・・セルヴァンは
何かを決意するみたいに
大きく息を吸った。

「まだ・・・
 最強候補の俺が・・・
 こんなことまだ言えねぇって
 おもってたけど・・・」
めずらしくセルヴァンが
言い訳のような弱気な口調になった。

え?っと思ってすべての
思考が止まる。
ぽっかり空いた思考の壁の穴を貫いて
彼の声が響いた

「俺は、ベルとファルゴア両方取る!」

・・・・・
一瞬の間をおいて思考が
動き出すと同時に、
あたしは彼の瞳を見た

!!!
今まで体験したことのない感覚だった。
能力が強制的に開かれる・・・・・
見つめた深い緑の瞳が語りかける。

流れ込む思考は、
あたしを強く求め
それを成すために
揺るがず進み続ける
彼の決意を教えてくれた。

そして、なんて深い愛だろう。
あたしも、そしてファルゴアも
すべてを愛しむその器が
彼に存在しているのがわかった。

あぁ・・・
あたしはこの人を選ぶんだ。
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